新型コロナウイルスにより、世界中で多くの美術館が閉鎖を余儀なくされた。そこで注目を集めたのがNintendo Switchのゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」(以下「あつ森」)だ。各美術館が過去の展覧会をゲーム内で再現したり、所蔵する作品をゲーム内で表示させるといった取り組みが大きな流れとなった。本記事では、これまでの「美術手帖」の記事から、「あつ森」に参加したギャラリーをまとめて紹介する。
木木美術館
「あつ森」で、バーチャル美術館を開いた世界初の美術館が、北京の798芸術区にある私設美術館「木木美術館」(M WOODS)だ。同館でこれまで開催されたデイヴィッド・ホックニーや陸揚(ルー・ヤン)、ニコラス・パーティー、アンディ・ウォーホルなどの展覧会を再現したことで大きな話題を集め、世界中の美術館がこの流れに続いた。
なぜ木木美術館がこのような取り組みを始めたのか、同館の共同創設者である晚晚に取材した記事も公開中だ。感染症の時代において、オンラインでいかにに戦略的に作品を見せていくのかについて、示唆に富む提案がされている。
J・ポール・ゲティ美術館
ロサンゼルスのJ・ポール・ゲティ美術館は、ゲーム内に自分だけの美術館をつくる「Animal Crossing Art Generator(どうぶつの森アートジェネレーター)」を公開している。同館のオープンアクセスのコレクションに所蔵する作品の画像を、ゲームにインポートしてミニアートワークとして使用可能。ダウンロードできる作品には、モネやマネ、ゴッホ、セザンヌ、レンブラントなどの名画も含まれている。
メトロポリタン美術館
世界最大級の美術館であるニューヨークのメトロポリタン美術館も「あつ森」に参戦している。同館が所蔵している作品のうち、画像を無料公開している約40万点がゲーム内で使用可能。メトロポリタン美術館のコレクション検索から「Open Access」を選び画像を検索し、「あつ森」用に作品を変換するだけだ。フェルメールやルノワール、ゴッホ、ゴーギャン、クリムト、葛飾北斎といった名だたる芸術家の作品が揃う。
三菱一号館美術館
国内で「あつ森」参戦が早かったのは、東京・丸の内の三菱一号館美術館だ。第1弾として同館所蔵のフェリックス・ヴァロットンの版画作品8点を公開し、第2弾としてアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックの7点を公開。5月22日には第3弾として新たにデザイン枠を15個使用するルドンの大作《グラン・ブーケ(大きな花束)》なども加わった。
東洋文庫ミュージアム
東京・駒込の東洋文庫ミュージアムは、同館の象徴的存在でもある2万4千点の本や絵画が並ぶモリソン書庫を「あつ森」に再現。さらにジョン・グールドによる鳥類図鑑『アジアの鳥類』の画像5点を、ゲーム内に展示するためにQRコードで公開している。
太田記念美術館
浮世絵専門の美術館として知られる、東京・原宿の太田記念美術館。葛飾北斎「冨嶽三十六景」の《神奈川沖浪裏》や《凱風快晴》といった浮世絵をマイデザインとして公開している。詳しくは同館Twitterを参照。
ポーラ美術館
神奈川・箱根のポーラ美術館も同館の所蔵作品を「あつ森」のために公開。クロード・モネの代表作のひとつである《睡蓮の池》や、フィンセント・ファン・ゴッホの《アザミの花》、ポール・セザンヌ《砂糖壺、梨とテーブルクロス》などを用意している。とくにモネ《バラ色のボート》は、デザイン枠が6分割されており、巨大作品として飾ることができる。