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INSIGHT - 2018.2.4

古代ギリシア彫刻から地下アイドルまで。2月号新着ブックリスト

『美術手帖』の「BOOK」コーナーでは、新着のアート&カルチャー本の中から毎月、注目の図録やエッセイ、写真集など、様々な書籍を紹介。2018年2月号では、近代建築の本質に迫る講義録、写真評論家による用語集、パルテノン彫刻に関する研究報告、地下アイドルユニットの写真集というバラエティに富んだ4冊を取り上げた。

文=近藤亮介+中島水緒

右から『実況・近代建築史講義』『キーワードで読む現代日本写真』『アフロディテの指先 パルテノン彫刻を読む』『暗闇から手をのばせ』

右から『実況・近代建築史講義』『キーワードで読む現代日本写真』『アフロディテの指先 パルテノン彫刻を読む』『暗闇から手をのばせ』

『実況・近代建築史講義』

 早稲田大学教授・歴史工学家の著者による「近代建築史」講義録。近代(モダン)の始まりを1400年代イタリアのルネサンスに認め、建築様式の人為的操作が開始・展開された「西洋近代」、第1次世界大戦後にミース・ファン・デル・ローエやル・コルビュジエらが推進した「モダニズム」、明治の擬洋風建築から1970年代以降のクリティカル・グリーニズム(批判的緑化主義)までを概観する「近代日本」の3部構成を通して、近代建築の本質に迫る。(近藤)

キャプション

『実況・近代建築史講義』

中谷礼仁=著

LIXIL 出版|1800円+税

『キーワードで読む現代日本写真』

 過去30年以上にわたり日本写真の動向を見守ってきた写真評論家による用語集。1990年代以降、写真は「アート化」(モダニズムの衰退および現代美術との融合)と「デジタル化」(画像操作の常態化とインターネットを介した拡散)によって劇的な変化を遂げてきた。そのなかで起きた東日本大震災は、戦後の「日本写真」の枠組みを見直す契機となった。ウェブサイト「artscape」掲載のレビューから抽出したキーワードと日本人写真家を簡潔に紹介する。(近藤)

キャプション

『キーワードで読む現代日本写真』

飯沢耕太郎=著

フィルムアート社|3800円+税

『アフロディテの指先 パルテノン彫刻を読む』

 古代ギリシア美術を専門とする研究者によるパルテノン彫刻の研究報告。アテネやロンドンでの実地調査で、パルテノン神殿、アクロポリス美術館などを訪れ、貴重な文化遺産を間近で観察。同美術館の展示物のレポートや素描作品の研究など「正統派」の論考に加え、女神の指先部分だけが残されたフリーズの断片から想像力を駆使して古代美術の謎に挑む書き下ろしのテキストも収録。碩学の視線を借りて壮大な美の歴史にふれることができる。(中島)

『アフロディテの指先 パルテノン彫刻を読む』

篠塚千惠子=著

国書刊行会|2400円+税

『暗闇から手をのばせ』

 「BELLRING少女ハート」は熾烈なライブ・パフォーマンスで熱狂的なファンを獲得してきた地下アイドルユニット。彼女らの活動を追いかけ撮影してきた写真家・小野啓が、2016年の解散をめどにこれまで撮りためてきた写真をドキュメンタリー調の写真集に仕上げた。熱気に満ちたライブ場面、ステージに押し寄せるファンの波、全力を使い果たして倒れ込むメンバーたち。「いま」を焼き付けようとする表現の初期衝動が500頁の厚みの中に詰まっている。(中島)

『暗闇から手をのばせ』

小野啓=著

silverbooks|4500円+税

『美術手帖』2018年2月号「BOOK」より)