EXHIBITIONS

雲をつかむ:原美術館/原六郎コレクション

2022.03.19 - 09.04, 2022.09.10 - 2023.01.09

原美術館ARC 外観 撮影=木暮伸也

辰野登恵子 無題 97-4 1997

横尾忠則 誰か故郷を想わざる 2001 ©︎ Tadanori Yokoo

白髪一雄 無題 1964

鈴木康広 日本列島のベンチ 2014/2021 ©︎ Yasuhiro Suzuki 撮影=木暮伸也

 原美術館ARCでは、第1・2期に分けて展覧会「雲をつかむ:原美術館/原六郎コレクション」を開催。作品制作や鑑賞の在り方の一端を表す言葉を同館の豊かな自然環境に求め、「雲をつかむ」と題し、「原美術館コレクション」(現代美術)と「原六郎コレクション」(東洋古美術)を展観する。

「雲をつかむ」という言葉は、「雲をつかむような話」のように、漠然としてとらえどころのない様や、現実味のないことを意味する。しかし、一般的な意味・解釈から解放すれば、非現実的と思われることにあえて挑戦する姿勢や、混沌とした状況や不透明な事象から、真実らしきものや本質とみなし得るものをとらえようとする意志を表す言葉とみなすこともできる。

 本展では、「雲をつかむ」という言葉をもとに、作家が自己や美術や社会の本質をつかもうと独自の理論・手法を編み出して制作した作品や、現実の再現ではなく概念を作品化したもの、具体的な像を結ばない抽象絵画や立体、不可解な光景が連なる多義的な写真作品などを同館の現代美術ギャラリーにて展示する。

 いっぽう、特別展示室・観海庵では、雲を描くことで場面を転換したり時の流れを表したりする日本近世絵画や、仏教絵画における雲の表現を紹介。また、円山応挙の『淀川両岸図巻』(下図)を巻き替えながら通年で展示し、本図を描くための応挙の淀川体験と意図を下図から読み解く。

 第1期(春夏季)の出品作家は、エレーナ・アルメイダ、井田照一、内倉ひとみ、笹口数、杉本博司、須田悦弘、ピエール・スーラージュ、辰野登恵子、野村仁、ナムジュン・パイク、藤本由紀夫、宮脇愛子、森村泰昌、山口⾧男、吉田克朗、エドワード・ルシェ、ジャン=ピエール・レイノー、リチャード・ロング、狩野派、円山応挙など。

 第2期(秋冬季)は、榎倉康二、大野智史、加藤泉、白髪一雄、中村一美、鳴海暢平、堀浩哉、ジョナサン・ボロフスキー、増田佳江、ジャック・モノリー、トレイシー・モファット、森弘治、横尾忠則、吉田克朗、李禹煥、円山応挙など。また通年で、アニッシュ・カプーア、草間彌生、宮島達男、森村泰昌、奈良美智、束芋の作品が展示される。