EXHIBITIONS

河井寬次郎と島根の民藝

河井寬次郎 三色扁壷 1962(昭和37) 島根県立美術館蔵

河井寬次郎 白地草花絵扁壷 1939(昭和14) 島根県立美術館蔵

棟方志功 いろは孔雀図襖絵 1959(昭和34) 安部榮四郎記念館蔵

喜阿弥焼 小土瓶 明治時代(20世紀初) 出雲民藝館蔵

濱田庄司 青釉十字掛盛鉢 1955(昭和30) 島根県立美術館蔵 © 濱田窯

 大正〜昭和にかけて活躍した陶芸家・河井寬次郎(1890~1966)。島根県安来市に生まれた河井は、その後、京都を拠点に、初期から晩年まで様々な釉薬や制作技法を駆使し、多彩な作品をつくり出した。

 河井は、思想家・宗教哲学者の柳宗悦(1889~1961)や陶芸家の濱田庄司(1894~1978)らとともに「民藝運動」を興したことでも知られている。当時、民衆の手仕事による工藝品は「下手物」と呼ばれ、評価されていなかったが、河井たちはこれに美しさを見出し、代わる呼び名として「民衆的工藝(略して「民藝」)という言葉を生み出した。その後は、各地で民藝品の調査・蒐集を行うとともに、民藝という美の概念を人々に訴えた。

 本展は、河井の初期から晩年までの仕事を、島根県立美術館(松江市)のコレクションからたどるもの。あわせて、民藝運動を全国に推進した作家たちの作品や、島根の民藝についても紹介する。

 作家の出身地で開催される本展を通じて、河井の豊かな造形と、島根ならではの手仕事の魅力を楽しみたい。