「柳宗理デザイン 美との対話」展が島根県立美術館で開催。柳の蒐集品や山陰と民藝の深い関わりにも注目

戦後日本を代表するプロダクト・デザイナーとして知られる柳宗理。多岐にわたるその仕事の全貌に迫る展覧会「柳宗理デザイン 美との対話」が、島根県立美術館で開催される。本展では柳の蒐集品や、山陰と民藝の深い関わりも紹介。会期は2020年1月24日〜3月23日。

黒土瓶 京都五条坂窯 1958 柳宗理デザイン研究会蔵

 戦後日本を代表するデザイナーとして知られる柳宗理(1915~2011)。民藝運動の創始者を父に持つ柳は終戦後、本格的にデザインの仕事を開始。「柳工業デザイン研究所」を設立し、日本においてプロダクトデザインが大きく発展した時期に重要な役割を果たした。

 そんな柳の仕事の全貌に迫る展覧会「柳宗理デザイン 美との対話」が、島根県立美術館で開催される。会期は2020年1月24日~3月23日。

 本展の第1章・第2章では、柳が生い立ちからデザイナーとして活躍するまでを追い、そのデザインの全貌を紹介。家具や食器、キッチンツール、グラフィックデザインなど600点以上の品々と、公共構造物や自転車などの写真パネルを展示する。加えて、柳の代表作《バタフライスツール》のバリエーションや東京オリンピックの聖火トーチ、実現には至らなかった建築物の模型なども見ることができる。

石膏ロクロで作業をする柳宗理 (C) YANAGI DESIGN OFFICE

 第3章では、柳と山陰地方の関わりを紹介。柳は1958年、島根・安芸市出身の河井寛次郎の窯で《国土瓶》をつくり、鳥取で民藝運動を進めた吉田璋也との関わりから鳥取・牛ノ戸でも陶器を制作。2000年代には鳥取の因州・中井窯と島根の出西窯で、柳ディレクションの陶器のシリーズを製造した。

 そして第4章では、柳が世界各地を旅行し、各地で蒐集した民藝品の数々を紹介。現在は自身が館長を務めた日本民藝館に収蔵されている品々を、旅の写真とともに見ることができる。

 小さな生活用品から大型の構造物まで、柳がその造形的な感覚と自らの手によって生み出したデザインの「美」を紹介する本展。いまなお世界的に高い評価を受けるその仕事を展観する、絶好の機会となることだろう。

編集部

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