EXHIBITIONS

雨宮庸介「H&T. A,S&H. B&W. (Heel&Toe. Apple,Stone&Human. Black&White.)」

2021.09.03 - 10.09

雨宮庸介 Apple(B&W), Pear(B&W), Banana(B&W) 2021

 SNOW Contemporaryでは、雨宮庸介による個展「H&T. A,S&H. B&W.(Heel&Toe.Apple,Stone&Human. Black&White.)」を開催する。

 1975年に茨城県水戸市に生まれた雨宮は、99年に多摩美術大学美術学部油画専攻を卒業後、2011年に渡欧し、現在はベルリンを拠点に活動している。絵画や彫刻、プロジェクトや映像インスタレーション、パフォーマンスなど様々なメディアを用いて表現活動を行う雨宮だが、それらすべての作品には、「最も毒の無いテーマを扱っている体裁を丁寧に整え、気付かれずに軽量の爆弾を持ち帰らせるような仕組みを常に考えている」(18年のSNOW Contemporaryでの個展・ステイトメントより)と作家本人が語るように、日常における事象に対し、多重な在り方を感知させる仕組みが存在する。

 日常から徐々に逸脱し、最終的には雨宮の創作する世界に引き込まれるパフォーマンスや、6人の石を持つ人が5年ごとに引き継ぎ、3314年まで続くプロジェクト「1300 年持ち歩かれた、なんでもない石」(2014〜)、溶けたりんごの彫刻作品「apple」など、わずかなズレを重ねて日常から人間や世界の普遍性に迫ろうとする雨宮の作品群は、一度体験することで、鑑賞前には意識することなく存在していた事象に対し、鑑賞後にはいままでと異なる見え方がするようになっている自分に気づかされるという「爆弾」を鑑賞者の内面に仕込む。

 本展では、ドローイングの近作とともに、活動初期から取り組んでいる雨宮作品のアイコンと言うべき溶けたりんごの作品や白黒の果物彫刻などを、テーブルに集めた作品空間を展開。雨宮独自の作品制作へのアプローチ、それによって生じる認識の変容を体験してほしい。