EXHIBITIONS

三島喜美代 個展「1950年代から2021年まで」

SOKYO ATSUMI
2021.07.15 - 09.04

三島喜美代 Work 21-B 2021 鉄、⽊、シラス H67×W60×D51cm

三島喜美代 無題 1957 キャンバスに油彩 H163×W114.5cm

 京都の現代美術 艸居は艸居アネックスと艸居リスボンに続く新たなギャラリーとしてポップアップスペース「SOKYO ATSUMI」をTERRADA ART COMPLEX Ⅱにオープン。こけら落としは、美術家・三島喜美代の個展「1950年代から2021年まで」を開催している。

 三島は1932年⼤阪市⽣まれ。現在は⼗三(⼤阪)と⼟岐(岐⾩)にて制作を⾏う。86〜87年までロックフェラー財団の奨学⾦によりニューヨークに滞在。「割れる印刷物」とも評される陶の作品をはじめ、廃棄された⾦属や⽊⽚などを組み合わせた⽴体作品を制作している。

 主な受賞歴は独⽴展⼤阪市賞(1961)、独⽴賞・須⽥賞(1963)、第9回シェル美術賞展佳作賞(1965)、ファエンツァ国際陶芸展ゴールドメダル(1974)ほか多数。2019年にはトリノで開催されたArtissimaにて、Sardi per lʼArte Back to the Future Prizeを贈られ、同年、芸術家としては初めての第5回安藤忠雄⽂化財団賞を受賞している。

 本展では、初公開となる三島の1950年代の絵画、巨⼤なコミックブック、90⽸のゴミ箱の初期作品、そして⽊⽚や⾦属、シラスを組み合わせた最新の⽴体作品を展⽰する。

 とくに見どころとなるのは、50〜60年代に制作され、これまで未発表だった絵画作品。そのもっとも初期にあたる作品《無題》(1957)では、三島の初期絵画を特徴づける油彩による荒々しい絵肌など貴重な要素を見ることができる。

 この他、その時代を反映した新聞紙や雑誌を貼り付けたコラージュの平面作品、『少年マガジン』と『少年ジャンプ』をモチーフとした溶融スラグ(ゴミを1400℃の⾼温で焼成しできたガラス状の粉末)による巨⼤なコミックブックなど、50年代〜2021年までに制作された作品が並ぶ。

 また展覧会に合わせて、2021年2月にハンス・ウルリッヒ・オブリストと三島が3時間にわたって⾏ったインタビューと、本展の出品作を掲載したカタログを出版する。

 なお三島は現在、森美術館で開催中の「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力―世界の女性アーティスト16人」(~9月26日)にも参加。今秋にはパリ市⽴近代美術館でのグループ展「The Flames. The Age of Ceramics」での出展も予定しており、国際的な評価がますます⾼まっている。