EXHIBITIONS

佐藤雅晴 作品展「Hands—もうひとつの視点から」

SATO Masaharu exhibition: Hands—from another perspective

六本木 蔦屋書店 2F BOOK GALLERY
2021.06.21 - 08.29

佐藤雅晴 Hands 2017 ©︎ Estate of Masaharu Sato

佐藤雅晴 Hands 2017 ©︎ Estate of Masaharu Sato

佐藤雅晴 Hands 2017 ©︎ Estate of Masaharu Sato

佐藤雅晴 Hands 2017 ©︎ Estate of Masaharu Sato

佐藤雅晴 エスカレーターガール 2010 ©︎ Estate of Masaharu Sato

カタログ・レゾネ表紙イメージ『佐藤雅晴 尾行—存在の不在/不在の存在』(美術出版社、2021)

 2019年に逝去したアーティスト・佐藤雅晴の映像作品を展示する「Hands—もうひとつの視点から」が、六本木 蔦屋書店のギャラリースペース「BOOK GALLERY」で開催される。会期は6月21日〜8月29日。

 佐藤は大分県出身。東京藝術大学大学院修士課程修了後、デュッセルドルフ・クンストアカデミーに在籍し、10年間滞在。2010年の帰国後は、茨城県を拠点に活動。国内外で高い評価を受けるなか、2019年に45歳で亡くなった。

 佐藤は、PCソフトのペンツールを用いて実写をトレースしたアニメーション作品に長年取り組んできた。佐藤にとってトレースとは、対象を「自分の中に取り込む」行為。その作品は制作過程においてデジタル機器を活用し、作家自らの身体である「手」を使って、膨大な枚数の作画をこなしながら生み出された。

 本展では、佐藤が生前に残した数ある作品のなかから、「人が世界と関係を結ぶために用いる様々な『手』の行為を撮影しトレースしてアーカイヴした」《Hands》(2017)を中心に展示。書店内のギャラリーという「BOOK GALLERY」の空間を活かし、新たな視点から本作品を再構成する。

《Hands》は、猫をなでる手、入れ歯を洗う手、恋人にふれる手、ページをめくる手、おもちゃで遊ぶ子供の手など、33もの「手」のシーンを描いた映像作品。死と隣り合わせの闘病生活を過ごすなかで、まだ生きていることや目前の生きている存在に希望や幸福を見出していったのではないかと感じさせる魅力に満ちている。

 展示構成は、imura art gallery、KEN NAKAHASHIが担当。本展協力は、大垣美穂子、imura art gallery、KEN NAKAHASHI、Estate of Masaharu Sato。

 また、大分県立美術館での回顧展(~6月27日)の開催とともに刊行された『佐藤雅晴 尾行—存在の不在/不在の存在』(美術出版社)を展示・販売。ギャラリースペースでの展覧会に合わせて、作家初となるレゾネも手に取ってほしい。