EXHIBITIONS

毒山凡太朗「反転する光」

2021.05.22 - 06.20

厠の戸に細工した明かりとり、高村山荘(岩手県花巻市)

 毒山凡太朗(どくやま・ぼんたろう)は1984年福島県生まれ。2011年3月11日に発生した東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故をきっかけに作家活動を開始し、「六本木クロッシング2019展:つないでみる」(森美術館、東京)や「あいちトリエンナーレ2019 情の時代」をはじめ、国内外を問わず精力的に活動を続けてきた。

 昨年にLEESAYAで開催された個展「SAKURA」では、時代によって「公共」のために利用されてきた桜の持つ、歴史的重層性と政治的多義性に焦点を当て、ナショナル・アイデンティティ、戦争、経済、五輪など様々なテーマに鋭くアプローチした作品群を発表し好評を得た。それから1年後に開催される本展は、今夏に予定している帰還困難区域ツアープロジェクト「IGENE」のプロモーションを目的としている。

 毒山は作家活動を始めるきっかけとなった原発事故から9年が経った昨年、初めて故郷・福島の帰還困難区域に入域した。その経験から、いかにメディアや社会、自分自身がアップデートされていない情報で区域内や原発、福島について語っていたかを痛感し、ツアーの開催を決意する。

 LEESAYAは、参加者とともに各所を巡り、現状についてより理解を深め、リアリティのある議論を交わしたいという作家の思いに賛同し、ツアープロジェクト「IGENE」のプロモーションを助成。展覧会では、ツアー内容が垣間見える映像作品と、福島を代表する作家・高村智恵子に、ひとしおの思いを寄せる毒山が、「レモン哀歌(『智恵子抄』より)」を手がかりに新作群を発表する。

 会場ではツアーに関する案内や、チケット販売も行う予定だ。