日本の世相を表す「桜」と「表現の自由」。毒山凡太朗の個展がLEESAYAで開催

東京・下目黒に昨年10月オープンしたギャラリー「LEESAYA」で、毒山凡太朗の個展「SAKURA」が開催される。本展で毒山は「あいちトリエンナーレ2019」に引き続き桜をモチーフに、「表現の自由」について考察。会期は3月20日〜4月12日。

会場風景 撮影=森田兼次 (C) Bontaro DOKUYAMA Courtesy of LEESAYA

 アーティスト・毒山凡太朗の個展「SAKURA」が、昨年10月東京・下目黒にオープンしたギャラリー「LEESAYA」で開催される。会期は3月20日〜4月12日。

 毒山は1984年福島県生まれ。大学卒業後はサラリーマンとして働いていたが、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故によって故郷の状況が一変したことをきっかけに作品制作を開始。特定のコミュニティに介入し、インタビューを行う対話形式の映像作品で、忘れ去られた過去の記憶や場所、現代社会において埋もれてしまった問題を改めて掘り起こすことを試みてきた。

 昨年は「あいちトリエンナーレ2019:情の時代」に参加し、映像作品3点と「ういろう」でつくった桜木のインスタレーション《Synchronized Cherry Blossom》(2019)を展開。また「表現の不自由展・その後」の展示中止をきっかけとする一連の騒動を受け、8月22日にアーティスト・ラン・スペース「多賀宮 TAGA-GU」をオープン。25日には同じく出展作家の加藤翼とともに「サナトリウム」を開設し、市民との対話やディスカッションのためのプラットフォームをつくってきた。

 本展で毒山は、あいちトリエンナーレで語り尽くすことのできなかった「桜」にフォーカス。満開の桜にも、散っていく桜にも風情を感じる日本人の情緒はどこに由来するものなのか。また、桜を時代によって都合よく解釈し、利用してきたのは一体誰なのか。日本の世相を表してきた「桜」に端を発するこれらの問いから、「表現の自由」と、表現者としての文化的な役割について考察する。

 なお会期中には、ギャラリー近くの桜の名所「かむろ坂」でのお花見やトークイベントなどの開催も予定されている。

編集部

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