EXHIBITIONS

PRINT(ed.)VOICES

2021.03.26 - 04.03

メインビジュアル デザイン=今井祥子

 代々木のギャラリーTOHで、原田美緒によるキュレーション展「PRINT(ed.)VOICES」が開催されている。

 ZINEとは、自分の意志で、自分の声を届けるためにつくる、一般の流通に頼らないメディアの一形式。本展では、「フェミニズム」というテーマを扱う7組のジンスタ(ZINEのつくり)を紹介する。参加アーティストは、aggiiiiiii、遠藤麻衣&丸山美佳、ザ・フー、檜山真有、Moët、Red Stocking、よこのななの7組。

 この7組は、自身の声を印刷することで、社会に対してささやかな抵抗をしている。その「ささやかさ」によってイデオロギーの押しつけを回避し、それぞれがZINEをフェミニズム・ムーブメントをサポートするひとつの手段として重要視している。キュレーターの原田美緒は、「ライオット・ガールムーブメント」の系譜のなかで、これらのZINEを語ることもできると言う。このムーブメントで提唱された、自分でできることは自分でやってみるという「DIY精神」が、7組が制作するZINEにも反映されている。

 本展は展示と販売の2つのパートで構成。展示では、芸術の一形式としてとらえるため、ヴィジュアルの観点からZINEに着目する。売り手と読み手が直接つながることができるのもZINEの魅力であり、販売のパートでは、ギャラリーを架空の本屋「dummy 山書店」に見立て、店主に扮したキュレーターが鑑賞者とのコミュニケーションを図る。

 展示されるZINEは、2007年よりaggiiiiiiiによって発行されているファンジン(愛好者によるZINE)『KAZAK』、フェミニズム/クィアの視点から国内外の芸術実践を紹介する遠藤麻衣&丸山美佳による日英バイリンガルZINE『Multiple Spirits』、東京を拠点に活動するアーティスト・コレクティブ「ザ・フー」によるボディ・ポジティブZINE『OPPAI』、檜山真有が発刊する『月刊檜山真有』、女性の内省的な活動に焦点を当てた哲学専攻の大学院生・Moëtによる『Daydreaming Zine』、スウェーデン語翻訳者・よこのななが、20世紀スウェーデンで起こったフェミニズム運動を紹介する『ASTRID』、そして「girls support girls 女性が女性をサポートする」をテーマに掲げるRed Stockingの『Red Stocking』。

 また会場となるTOHでは、本展の関連プログラムも実施している。詳しくはキュレーター・原田美緒のTwitterInstagramへ。

 本展のキュレーションを手がける原田美緒は、東京大学文学部思想文化学科美学芸術学専修課程を卒業後、現在、東京藝術大学大学院修士課程(国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻キュレーション領域長谷川祐子研究室)に在籍。専門は、身体、フェミニズム、及びパフォーミング・アーツのキュレーション。パフォーマーとしての活動も行う。出版の分野では、展覧会カタログの編集を多く行ういっぽうで、自身でもZINEを制作している。