EXHIBITIONS

りんご宇宙 ―Apple Cycle / Cosmic Seed

2021.04.10 - 08.29

ケリス・ウィン・エヴァンス「....the Illuminating Gas」会場風景(Pirelli HangarBicocca、ミラノ、2019) ※参考図版 Courtesy of the artist and Pirelli HangarBicocca, Milan Photo by Agostino Osio

雨宮庸介 Apple 2018 Courtesy of SNOW Contemporary

ジャン=ミシェル・オトニエル エデンの結び目(Simulation from the artist studio) ©︎ Othoniel Studio

潘逸舟 おにっこのち 2020 Courtesy of the artist ※参考図版

笹本晃 スピリッツの3乗 2020 弘前れんが倉庫美術館蔵 Photo by Naoya Hatakeyama ©︎ Aki Sasamoto

 青森県の弘前れんが倉庫美術館の2021年度春夏プログラムは、「りんご宇宙 ―Apple Cycle / Cosmic Seed」の第1部を開催。ウェールズ出身のアーティスト、ケリス・ウィン・エヴァンスをはじめとして、雨宮庸介、河口龍夫、タカノ綾、和田礼治郎、ジャン=ミシェル・オトニエル、笹本晃、潘逸舟(ハン・イシュ)の8名が参加する。

 エヴァンスは現在、ロンドンを拠点に活動。1980年代から実験的な映像作品を手がけ、90年代以降はネオン、音、鏡などを用いて制作を行い、哲学や音楽、天文学、物理学など多様な分野に基づく作品が国際的に高く評価されてきた。

 2019年に弘前を訪れてリサーチを行ったエヴァンスは、青森の地で出会った「りんご」から着想を得て、弘前れんが倉庫美術館の吹き抜けに合わせたネオン管による《Drawing in Light(and Time)....suspended》を構想。りんごの断面のフォルムから万有引力の公式、惑星の軌道といった象徴的なイメージやモチーフをグラフィカルに組み合わせた灯(ともしび)、あるいは光のトーテムのような巨大な彫刻作品を生み出した。

 2021年度の春夏から秋冬に続く本プログラムは、エヴァンスによる初公開の新作コミッションワークを中心に、より自由な展示のリズムや空間の使い方を探り、作品の多様な解釈を促すことを念頭として、異なるテーマ・展示内容で構成される。

 りんごは西洋美術史において古来、豊穣や生命の儚さなどの象徴として多く描かれてきた。本展はそうした表象のみを取り上げるものではなく、現代のアーティストらによる、りんごをめぐる豊かな思考と想像に着目した多様な作品を展示。日常の身近な存在から宇宙規模に展開される多様なイマジネーションのかたちを紹介する。

 さらに会期中、弘前ゆかりのアーティストやクリエイター、研究者らの視点の交差・交換の場を試みる「弘前エクスチェンジ」の一環として、りんごの研究者や生産者を迎え、地元の様々な取り組みを紹介するトークイベントなども行う。