EXHIBITIONS

近藤亜樹「ここにあるしあわせ」

2021.03.13 - 04.10

近藤亜樹 ふるさと 2020

近藤亜樹『ここにあるしあわせ』書影

近藤亜樹 大地に生きる 2020

近藤亜樹 雨上がりの珈琲をあなたと 2020

近藤亜樹 サマービーチ 2020

近藤亜樹 祈り 2020

 ペインター・近藤亜樹の初となる作品集の刊行を記念して、シュウゴアーツで個展「ここにあるしあわせ」が開催される。

 日々体験する感情や記憶を描き出してきた近藤。大胆で伸び伸びとした筆致や鮮やかな色遣い、ユーモラスで想像力を掻き立てるイメージの数々は多くの人の心をとらえて離さない。そのいっぽうで、近藤の制作は東日本大震災や身近な喪失の体験を経て、つねに独自の死生観のもとに描かれている。

 近藤は2019年冬から2020年春にかけて、故郷・札幌で50点の作品を制作。生を祝して贈る花、生を労われて贈られる花、彼方へ眼差しを放つ子供、重なり合う空のコップなど、他者と関わりながらも、個々に明滅する命の姿を描いた。その作品群は、今年3月に一冊の本『ここにあるしあわせ』として刊行される。

 これまでは、絵が生まれるスピードに時として自分の気持ちが追いつかなかったと語る近藤だが、「ここにあるしあわせ」の制作を通し、生きることと描くこととが重なり合う実感を得るに至ったという。制作の完了を持って、昨年夏に母校・東北芸術工科大学がある山形への移住を決心し、現在は新たな制作の環境を整えつつ次なる作品を構想している。

『ここにあるしあわせ』はT&M Projectsの協力を得て、絵具の光沢や盛り上がり、たっぷりとした筆の流れや重なり合う色彩など、近藤の絵画の魅力を紙面で再現。書籍のデザインは鈴木聖が手がける。なお、近藤が同書のために特別に一枚ずつ描き下ろしたアクリル絵具による花の作品100点を、特装版『A Hundred Flowers』として100部限定で発売する。

 刊行記念展は、シュウゴアーツ(3月13日~4月10日)のほか、フィリップス 東京(3月13日〜4月9日)、現代芸術振興財団(3月13日〜4月9日)、代官山 蔦屋書店(3月12日〜3月26日)の都内4ヶ所で同時期開催される。

 また近藤は、現在開催中の「—INSIDE THE COLLECTOR’S VAULT, VOL.1—解き放たれたコレクション展」(WHAT、〜5月30日)および、CADAN有楽町のグループ展(3月16日〜21日)に参加。アートフェア東京2021(東京国際フォーラム、3月19日〜21日)では、近藤が東京を拠点に活動した時期の代表作《HOUSE》が展示される。