EXHIBITIONS

梅津庸⼀「平成の気分」

2021.03.05 - 03.27

梅津庸一 パームツリー 2020-2021 陶 H27.4×W16×D17.5cm

梅津庸一 二重フィルター 2020-2021 陶 H29.8×W23×D13cm

梅津庸一 花粉濾し器 2020 陶 H36.4×W26.3×D17.3cm

梅津庸一 円形のネットフェンスと強い風 2020 陶 H30×W22.7×D13.6cm

 現代美術 ⾋居は、「梅津庸⼀個展 平成の気分」を開催。美術家の梅津庸⼀が、自身初の陶芸作品を発表した昨年の「⼆⼈展 川井雄仁・梅津庸⼀ LOOP な気分で SHOW ME【⼟塊】」に続き、梅津による陶の新作約35点とドローイング15点を合わせて展⽰する。

 梅津は1982年⼭形県⽣まれ。⽇本における近代美術の展開とその末尾に位置する⾃分⾃⾝の関係を探求する作家。ラファエル・コランの代表作《花⽉(フロレアル)》の裸婦を⾃らの裸像に置き換えた《フロレアル(わたし)》(2004〜07)でデビューし、14年には、⽇本の近代洋画の黎明期の作品である⿊⽥清輝の《智・感・情》をモチーフに、⼈物像を⾃らの裸像に置き換えた絵画作品《智・感・情・A》を発表した。

 これまで⼀貫して美術や絵画が⽣起する地点に関⼼を寄せる梅津のアプローチは多岐に渡り、絵画をはじめ、ドローイングや映像、私塾「パープルーム予備校」の運営、展覧会のキュレーション、ギャラリーの運営、⽂筆業など様々な分野を横断しながら⾃⾝の想像⼒や思考を深めてきた。また昨年の美術⼿帖12⽉号の特集「絵画の⾒かた」を監修するなど、その活動はますます広がりを⾒せている。

 京都市京セラ美術館新館での「平成美術:うたかたと瓦礫(デブリ)1989–2019」(~4月11日)に出展中の作品「花粉の王国」からの流れを汲む本展では、「花粉濾し器」シリーズの新作をはじめ、数年の歳⽉をかけじっくりと⽣成されたドローイングなどが展示される。

「花粉の王国」とは、梅津⾃らが主宰する共同体「パープルーム」によるもの。梅津にとって「花粉」は芸術家が別の芸術家に様式や感性の影響を与える際の媒介物を意味し、既存の枠組みや時代の隔たりを越えてふわふわと漂い、思いがけないかたちで実を結ぶということを象徴的に表している。