EXHIBITIONS

最果タヒ展

われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。

「最果タヒ 詩の展示」展示風景(横浜美術館、2019) 撮影=山城功也

「最果タヒ 詩の展示」展示風景(横浜美術館、2019) 撮影=山城功也

HOTEL SHE, KYOTO期間限定コラボルーム「詩のホテル」 撮影=YUKI NOBUHARA

最果タヒ『死んでしまう系のぼくらに』(リトルモア、2014)表紙

 数々の新しい詩の運動を巻き起こしてきた注目の現代詩人・最果タヒが、九州での初となる個展を開催する。

 最果タヒは1986年生まれ。2006年に現代詩手帖賞を、08年に第一詩集『グッドモーニング』で中原中也賞を受賞。その他の主な詩集に『死んでしまう系のぼくらに』(現代詩花椿賞受賞)、『空が分裂する』『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(同作は2017年石井裕也監督により映画化)。エッセイ集に『きみの言い訳は最高の芸術』『「好き」の因数分解』、小説に『星か獣になる季節』『十代に共感する奴はみんな嘘つき』など。作詞提供も行っている。今年3月に、自らの劣等感に光を当てて映る世界を紡いだエッセイ集『コンプレックス・プリズム』が刊行された。

 中学時代よりインターネット上で言葉の発表を始めた最果。スマートフォンで詩を書き、現代の感情を繊細かつ鋭く表現するその作品発表の場は本やインターネット上にとどまらず、SNSの活用、作詞、詩集の映画化、商業施設とのコラボレーションといった幅広い活動によって、これまで詩に触れる機会が少なかった若い世代もファンに取り込んでいる。近年は、横浜美術館での個展開催(2019)や、HOTEL SHE, KYOTOでの期間限定のコラボルーム「詩のホテル」など、空間を使った作品発表を積極的に試みている。

 本展は、読者が会場を歩き回り、空間全体で言葉を体感する「詩の展示」。そのなかでも、天井から多数の言葉が書かれたモビールを吊るすインスタレーション《詩になる直前の、アルティアムは。》は重要な作品のひとつ。表裏に異なる詩の断片が記された、静かに揺れ動くモノトーンの紙片はいくつもの言葉の連なりを生み出し、鑑賞者はその偶然から詩を切り取る読者となる。

 会場にある作品が読まれ、初めて意味を持つものであってほしいと願う、最果による「詩になる直前」の言葉たち。それらを追いかける体験を通して、自分の心が動く言葉やその瞬間、あるいは、目が「無意識に読んでいる」感覚に気づくような、言葉との新たな出会いが生まれるだろう。

 本展アートディレクションは、これまで最果の数々の書籍のデザインを手がけてきたグラフィックデザイナーの佐々木俊が担当。