EXHIBITIONS

横溝静「That Day あの日」

横溝静 That Day(あの日) 2020

 イギリス在住のアーティスト・横溝静(よこみぞ・しずか)が日本では5年ぶりとなる個展を開催。本展では、照明効果と連動する映像作品を中心に、時間と記憶の行き先を問いかける新作が展示される。

 横溝は1966年東京都生まれ、中央大学で哲学を専攻した後、95年にロンドン大学ゴールドスミス校美術修士課程を卒業。以後ロンドンを拠点に活動し、これまで、友人が眠りについた姿を写した「Sleeping」(1995〜97)、見知らぬ他者と言葉を交わさぬ邂逅で撮影した「Stranger」(1998〜2000)など、写真や映像の特性を用いて自己と他者の関係性に注目した作品を発表してきた。

 本展は、緩やかに明滅する照明と連動した東北の海が舞台の映像作品《That Day(あの日)》、毎日展示が替わる明け方の空の写真《Today / Yesterday》、 波の白黒写真《Waves》の新作3点で構成される。

 映像作品《That Day》では、幼少期に父親が海辺で撮影した夏休みの家族写真と、同じ海辺で近年撮影した作家自身と母親の近影とが印画紙に現像されるさまを上映。現像液の静かな水音や海の音に記憶をたどるセリフがオーバーラップし、現像の度合いが進行するにつれて展示室の照明が強まり、投射されるイメージが光にかき消される。

 同時に展示される2点組の写真作品《Today / Yesterday》は、現在作家が暮らすロンドンの窓から見上げた明け方の空を、2019年の3月から約2ヶ月にわたって撮影したもの。《That Day》の映像内に登場する家族写真の、波の部分だけを引き伸ばした《Waves》とともに、時間と記憶の姿を多層的に浮かび上がらせる。