写真や映像は絶えず流れる時間のある一瞬を切り取り、人々に過去の物語を想起させる。そうした時間と写真・映像作品の関係を主題に、IZU PHOTO MUSEUMでは所蔵作品を中心とした展覧会「永遠に、そしてふたたび」を開催、5名の現代作家の作品を紹介する。
展覧会タイトルにもなった横溝静の《Forever (and again)》は、イギリスに暮らす老女たちがショパンのワルツを弾く姿と、彼女たちの部屋や庭を併置して投影する映像作品。彼女たちの生きてきた時間、主旋律を繰り返す音楽、そして彼女たちの生命より長く存在し続けるその楽曲の関係は、刹那的でありながら永続的な時間のあり方を問いかける。
これまで「光」をテーマに制作してきた野口里佳は、ベルリンのバスの車内から景色を撮影した作品《夜の星へ》(2016)で夜の街の次々に視界に飛び込む光を切り取った。本作品は国内美術館では初の展示となる。
川内倫子は13年間自身の家族を撮りつづけた作品《Cui Cui》(2005)を展示。「Cui Cui」はフランス語で鳥のさえずりと写真を撮る合図の言葉を表す。さえずりのような日常と、合図で合わせた記念写真と、大小さまざまな出来事が重なる家族の記憶を描く。
長島有里枝の作品《SWISS》(2007)は、庭造りに熱心だった祖母が撮った花の写真を、その死から20年後に発見し、着想を得たもの。アーティスト・イン・レジデンスで滞在したスイスの花を通して亡き祖母や大切な人を想う。
また、アメリカの写真家テリ・ワイフェンバックの《柿田川湧水》(2015)は、2015年静岡に滞在中制作した、写真と映像を組み合わせた作品。絶え間なく流れる水や、その流れで円を描く小さな木の葉など、常に変化する自然の一瞬を切り取る。