EXHIBITIONS

ジョーン・ジョナス「ワルツ」

ジョーン・ジョナス Waltz 2003 © Joan Jonas

 パフォーマンスとメディア・アートによる芸術表現で知られるアーティスト、ジョーン・ジョナスの個展が開催。本展は第34回京都賞の受賞記念する展覧会の第2期として、ジョナスのパフォーマンス表現からもたらされる映像作品に焦点を当てる。

 ジョナスは60年代に作家活動を開始。当時隆盛したミニマル・アートの影響下で、対象と自らの関係性についての考察を深め、身体表現をベースとしたパフォーマンス作品や、それと関連した映像作品をドローイングや小道具とともに展示するインスタレーションを展開してきた。

 ジョナスが活動初期から重点を置いていたのが、シンプルな持ちものを用いた表現。物品(プロップ)の内外にある物語を身体を介して引き出す働きかけによって、見過ごされていた価値観を表出させてきた。また70年代には日本で能の舞台を目にし、持道具に複数の文脈を見出すという表現方法に大きな影響を受けている。

 本展では、2つの短編映像《Waltz》(2003)と《Mirror Improvisation》(2004)を中心に構成。ともに象徴的なシーンを断片をつなぎ合わせた起承転結のない映像は、物品(プロップ)と演者の接点が別々のストーリーを想起させる点に注目し制作された。

 この2つの映像に加えて、パフォーマンスの重要な要素であるドローイングも展示。「プロップはパフォーマンスで使われた時にはじめてオーラを持ち、すべての関係性を導いていく」と語るジョナスの表現をひも解く。
 
 京都賞と連動して、京都市立芸術大学ギャラリー @KCUAで個展「Five Rooms For Kyoto:1972‒2019」(12月14日~2020年2月2日)が開催。12月12日には京都ロームシアターでパフォーマンス公演を予定している。