EXHIBITIONS

没後100年特別小企画展

辰野金吾と美術のはなし

松岡壽 辰野金吾肖像 1921 辰野家蔵

辰野金吾滞欧野帳 1881‒82 辰野家蔵 © Osako Futoshi

シンバルを持つサテュロス 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻

辰野・葛西建築事務所 中央停車場建物展覧図 1911頃 鉄道博物館蔵

現在の東京駅丸の内駅舎(北口) © Yanagi Shinobu

 東京駅や日本銀行本店の設計を手がけたことで知られる建築家・辰野金吾の没後100年の節目に、駅構内にある東京ステーションギャラリーでは、美術をテーマにその事績を振り返る特別小企画展を開催する。 

 辰野は1854年、現在の佐賀県に生まれ、明治から大正にかけて活躍。明治政府が設立した大学「工学寮」の第一回生として学んだ辰野は、首席で卒業し英国官費留学のチャンスを得て、帰国後は教育者・建築家として日本建築界の近代化に貢献した。代表作の日本銀行本店(重要文化財)や東京駅のほか、裁判所、学校、住宅などその生涯で様々な建築を手がけた。

 本展では、辰野が留学時代に出会った洋画家・松岡壽との関係に着目し、学生時代の資料や東京駅の図面、松岡による絵画など約70点を3章に分けて紹介。辰野・葛西建築事務所による東京駅(中央停車場)の図面のうち、初公開を含む約20点を展示するほか、辰野が留学中つねに持ち歩いた《滞欧野帳》、辰野が松岡に依頼して描かせた肖像画、2人が協働した大阪市中央公会堂に関する資料などが並ぶ。