EXHIBITIONS

百代の過客<企画展示>

広島県尾道市百島町
2019.10.05 - 12.15

小泉明郎 夢の儀礼(帝国は今日も歌う)展示風景 2017 Ⓒ Meiro Koizumi Courtesy of the artist and MUJIN-TO Production

柳幸典 アーティクル9 2016 © YANAGI STUDIO

池内美絵 アリス2015 2015 写真=高嶋清俊

 NPO法人ART BASE百島は、2012年に広島県尾道市の離島・百島で閉校となった旧中学校舎を改修し、アートセンターとして開館。現代美術家・柳幸典をディレクターとして、急激な過疎化と高齢化の進む瀬戸内海の離島で、国際的なアーティストによる展覧会やレクチャー、ワークショップなどを毎年開催し、芸術文化による地域再生に取り組んできた。

 今年は「百代の過客(ひゃくだいのかきゃく)」と題して、芸術表現の立場から社会と個人の関係を考え、市民が社会へ積極的に関与する重要性を問いかける試みとして、アーティストや研究者との対話、これに関連する作品を展示する2つのプログラムで構成。東京2020による都市の変化と距離のある離島「百島」で、未来を想像し、豊かな社会への道を模索する。

 メインプログラムの連続対話企画は全3回。第1回は、志田陽子(憲法学者)、島本脩二(編集者)、Shing02(MC・プロデューサー)、柳の4名を迎え、「生きること」「表現すること」を担保する憲法について対話する。

 第2回は河本真理(美術史家)、辻田真佐憲(近現代史研究者)、毛利嘉孝(社会学者)の3名が登壇。「現代日本におけるプロパガンダ」を議題とする。そして第3回は大浦信行(美術家・映画監督)、北原恵(表象文化・美術史学者)、小泉明郎(映像作家)の3名を迎え、「表現の不自由」への考察、今日の日本における芸術表現に対する検閲と規制について対話する。

 いっぽう、同時開催される企画展では、憲法9条をテーマとした柳のインスタレーション《アーティクル9》、小泉が2016年に制作した《空気》、映像作品《夢の儀礼(帝国は今日も歌う)》と関連ドローイング6点、大浦の版画シリーズ《遠近を抱えて》全14点など連続対話に関連する作品が並ぶ。加えて、あいちトリエンナーレ2019で展示中止となった映像作品《遠近を抱えて part2》を対話イベント開催日に全3回、限定公開する。 

 また、百島で空き家となっていた民家を再生するアートハウス·プロジェクト「乙1731ーGOEMON HOUSE」を公開。榎忠と池内美絵のサイトスペシフィックな作品を民家を利用して展示する。