「不自由展」でも展示された小泉明郎「空気」シリーズ、歌舞伎町・麦ノ音で常設展示へ

あいちトリエンナーレ2019の一企画「表現の不自由展・その後」においても展示されていた、小泉明郎の「空気」シリーズ。同シリーズのひとつである《空気 #11》の常設展示が、東京・歌舞伎町のダイニングバー「麦ノ音」でスタートした。

 

小泉明郎 空気 #11 2018 キャンバスにプリント、アクリル、空気 44x33.5cm (C)Meiro Koizumi Courtesy of the artist, Annet Gelink Gallery and MUJIN-TO Production

 「あいちトリエンナーレ2019 」の一企画であり、現在も展示中止状態となっている「表現の不自由展・その後」。ここで展示されていた作品のひとつ、小泉明郎の《空気 #1》(2016)と同じシリーズである《空気 #11》(2018)が、東京・歌舞伎町のダイニングバー「麦ノ音」で常設展示されている。

 「空気」シリーズは、天皇家をモチーフにした作品。小泉は天皇や皇族を写した既存の写真上の姿を覆うように背景を描き、その姿を消し去ることで、「幽霊のような空虚さと、天皇の身体を囲む人々の儀式」を浮かび上がらせた。日本語の「空気」という言葉に含まれる「暗黙の了解」「暗黙のルールを壊さないようにするための雰囲気」から名付けられたこのシリーズは、象徴としての天皇の存在が日本においていかなるものかを示している。

 このモチーフが原因で、同シリーズは「MOTアニュアル2016 キセイノセイキ」展(東京都現代美術館)で出品不可となり、そのなかから《空気 #1》(2016)が「表現の不自由展・その後」に出品されたという経緯がある。

 今回、麦ノ音で常設展示されている《空気 #11》(2018)も同様の手法によって、天皇の姿を透明化したもの。検閲された作品を並べた「表現の不自由展・その後」が展示中止となったいま、あらためて様々な「空気」について考える契機となりそうだ。

 なお小泉は、あいちトリエンナーレ2019のすべての展示中止作品を再開させる「ReFreedom_Aichi」にも参加。こちらもあわせてチェックしてほしい。

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