EXHIBITIONS

鳥海青児とその時代

2019.06.29 - 09.23

鳥海青児 瀬戸の山 1941

鳥海青児 メキシコの西瓜(メキシコ風の西瓜) 1961

鳥海青児 沖縄風景 1940

岸田劉生 石垣ある道(鵠沼風景) 1921

萬鉄五郎 茅ヶ崎風景(海岸風景) 1924

 鳥海青児(ちょうかい・せいじ)は、平塚市を代表する油彩画家。鳥海は関西大学在学中の1924年に春陽会に初入選し、本格的に絵画を学ぶため30年に渡欧。フランシスコ・デ・ゴヤ、レンブラント・ファン・レインらの作品に強い関心を寄せた。

 33年に帰国後、春陽会会員となった鳥海は渡欧で培われた造形思考をもとに、日本の風土に根ざした堅固な表現を目指して制作活動を展開。43年に独立美術協会に移り、以降、同会を活動の場とした。初期ではフォーヴィズムの影響を受けて自然の重厚さを描いた鳥海。その後、日本のみならず、中国、エジプト、イラン、インド、ペルー、メキシコなど世界各地に取材し、モチーフを静物、人物、建造物、遺跡などに広げた。また西洋のみならず東洋の古美術への深い造詣により、モチーフの形態を単純化して描く象徴的なリアリズムを追求するとともに、厚塗りのマチエールを駆使し、独自の表現を追求していった。

 開館以来、鳥海の顕彰に努めてきた平塚市美術館は、タブローやデッサンを含む160点を所蔵。2018年には、生前最後の自選展で展示された《瀬戸の山》を新たに収蔵した。

 本展では《瀬戸の山》を半世紀ぶりに公開。これを記念し、鳥海の画業を振り返るとともに、鳥海に影響を与えた岸田劉生、萬鉄五郎らの作品や、交友のあった画家たちの作品を合わせて紹介する。