赤城山麓に位置する群馬県勢多郡大胡町(現・前橋市)に生まれた横堀角次郎(1897〜1978)。同窓の椿貞雄とともに岸田劉生を訪ねたことをきっかけに画家を志し、草土社の創立に参加。劉生の影響のもと、「草土社風」といわれる細密描写による写実の風景画や静物画を制作した。
草土社が解散した後も、その流れをくむ春陽会を作品発表の場とし、亡くなる年の第55回まで欠かさず出品。草土社時代以降は生涯穏健な自然描写に徹し、その平明で温かみのある風景画で多くの人に愛された。
活動の拠点は東京に置きながらも、故郷の赤城山に幾度となく足を運び、その周囲の田園風景を描き続けた横堀。地元との結びつきを重んじ、群馬美術協会の結成や、旧制前橋中学の友人である日本画家・礒部草丘、鋳金家・森村酉三との三酉会結成にも尽力した。
横堀が今年没後40年を迎えるのを機に、故郷・前橋で開催される本展。草土社時代の細密画から郷里・赤城山を描いた風景画まで、その60年以上にわたる画業を紹介するとともに、岸田劉生、椿貞雄、鳥海青児ら横堀と親交のあった作家の作品もあわせて展示し、横堀の画家としての位置を探る。