ニコラス・ハットフル「Thermals of the Heart－こころの温度」

　東京都生まれの若手イギリス人アーティスト、ニコラス・ハットフルのアジア初となる個展が開催されている。

　ハットフルは1984年生まれ、現在はロンドンを拠点に活動。iPadで描いたスケッチをキャンバスに油彩で描き、スプレーペイントを駆使して、力強さと透明感が共存する作品を発表している。その作品はこれまで、ロンドンのサーチギャラリーやローマのジョルジュ・エ・イザ・デ・キリコ財団、ローマ現代アート美術館（MACRO）など多くの美術館で展示されてきた。

　また、東京で生まれたハットフルは自身が大きく影響を受けたもののひとつとして、小津安二郎の映画を挙げている。飾り気のない日常を繊細に映し出す小津のカラー映画をイメージの源泉に、ハットフルは儚くも鮮やかな心象風景を幻想的に描き出している。

　本展では、今回の展示のために制作された14点の新作を発表。ハットフルが生み出す、夏の蜃気楼を思わせるシュールでカラフルな絵画作品を楽しみたい。