大竹伸朗　ビル景　1978-2019

　大竹伸朗は1955年東京都生まれ。80年代初めに作品発表を開始し、絵画を中心に、印刷や音、写真、映像などの多彩な表現を展開してきた。その活動は現代美術の領域にとどまらず、文字やデザインなど、幅広いジャンルに影響を与えている。

　代表作のひとつ「ビル景」は、70年代から現在までの約40年間にわたり、描き続けている絵画シリーズ。現在の風景をそのまま写し取るのではなく、大竹の中に記憶された、香港、ロンドン、東京といった様々な都市の、湿度や熱、騒音、匂いがランダムにミックスされ、「ビル」というかたちを伴って仮想の風景としてかたちづくられている。

　本展は、大竹の関東では13年ぶりとなる美術館個展。「ビル景」シリーズの注目し、多数の未発表作品から最新作まで800点以上を調査を経て、同シリーズの全貌を明らかにする。

　デジタル技術全盛の現代で、数十年にわたり自らの手で絵を描き、つくり続けることの意味とは何か。大竹の数々な作品で埋め尽くすギャラリー空間で感じ取りたい。