EXHIBITIONS

市川孝典「TV」

2019.02.07 - 03.03

市川孝典 untitled(noise)#1 2019 © Kosuke Ichikawa

 一貫して「記憶」をテーマに制作を行ってきたアーティスト・市川孝典。13歳で単独渡米し、アメリカやヨーロッパ各地を遍歴するあいだに絵画と出会い、後に様々な表現方法を用いて独学で作品制作をスタートさせた。帰国後は、少年期の類希なる体験の記憶をもとに、多様な線香を太さや温度で使い分けて紙に焦げ目をつけながら単色の絵を仕立てるスタイルを確立。「現代絵画をまったく異なる方向に大きく旋回させた『線香画』」と称され、メディアに大きく取り上げられる。

 自身が幼少時に見た風景、時間を刻む時計の盤面、SNSの画像をロード中のタブレット端末のディスプレイ、テレビ画面上のノイズなど、人々に潜在する儚い「記憶」にアクセスする風景を収集し、それらの場面を映し出す強靭で繊細な絵画を描き続けてきた市川。近年では、インクやパステルで描画し、絵画表面を電動ヤスリで削り落としてさらに彩色を施すといった独自の描画手法を編み出し、カラー作品にも挑んでいる。

 NADiff Galleryでの約6年ぶりの個展となる本展では、新作絵画群を発表。写真美術館主催の「第11回 恵比寿映像祭」(〜2月24日)の地域連携プログラムの参加企画となる。