EXHIBITIONS

塩田千春展:魂がふるえる

2019.06.20 - 10.27

塩田千春 静けさの中で 2008 「存在様態」パスクアートセンター(ビール/ビエンヌ、スイス、2008) Photo by Sunhi Mang

塩田千春 どこへ向かって 2017 「どこへ向かって」(ル・ボン・マルシェ、パリ、2017)での展示風景 Photo by Gabriel de la Chapelle

塩田千春 不確かな旅 2016 「不確かな旅」(ブレイン|サザン、ベルリン、2016) Photo by Christian Glaeser

塩田千春 時空の反射 2018 「時間を巡る9つの旅」(パラッツォ・レアーレ、ミラノ、2018)での展示風景 アルカンターラ蔵 Photo by Sunhi Mang

塩田千春 オペラ公演「松風」のステージデザイン ベルリン国立歌劇場 2011 Photo by Bernd Uhlig

 黒や赤の糸を空間全体に張りめぐらせたインスタレーションや、かたちのないものを表現したパフォーマンスで知られるアーティスト・塩田千春。その活動20年を網羅する過去最大規模の個展が開催される。

 塩田は1972年大阪府生まれ、ベルリン在住。2008年、芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。日本では2001年の第1回横浜トリエンナーレに出展した《皮膚からの記憶》で注目を集め、15年には第56回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館代表を務めた。これまでに250本以上の展覧会に参加し、世界各地で精力的に作品を発表している。
 
 塩田の作品をもっとも特徴づけるのは、黒や赤の糸を空間全体に張り巡らせる没入型のインスタレーション。使用する糸の色について、塩田は、「黒は夜空とも宇宙ともとらえることができ、赤は血液、あるいは『赤い糸』といった、人と人のつながりと考えることもできる」と語っている。

 本展は、約100艘の舟を天井に吊した《どこへ向かって》や、15年のヴェネチア・ビエンナーレ日本館で発表された《不確かな旅》、幼少期の記憶から制作された《静けさの中で》など、大規模なインスタレーション6点を中心に、本展のための新作インスタレーションも展示。立体作品、パフォーマンス映像、写真、ドローイング、舞台美術の関連資料なども加わり、「不在のなかの存在」を一貫して追究してきた塩田の集大成となる。

 副題の「魂がふるえる」には、言葉にならない感情によって震えている心の動きを、他者にも伝えたいという作家の思いが込められている。