EXHIBITIONS

かわいい浮世絵 おかしな浮世絵

2019.01.05 - 01.27

歌川芳員 東海道五十三次内 大磯 をだハらへ四リ

歌川広景 江戸名所道化尽 七 新シ橋の大風

歌川広重 名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣

歌川国芳 ほふづきづくし 八そふとび

作者不詳 雷光の図説 豊年魚

 江戸時代の浮世絵には、美しい遊女や格好の良い役者たち、人気の名所など、当時の人々が夢中になった様々な流行や風俗が数多く描かれている。しかし、江戸の人々と約150年後に生きる現代人とがまったく同じ目線になって浮世絵を鑑賞することは難しいと言えるだろう。

 そこで本展は、江戸の人たちとほぼ同じ感覚になって気楽な心持ちで浮世絵を楽しんでもらうべく、「かわいい」や「おかしい」をキーワードに、動物や子供たち、思わず吹き出してしまうような奇妙な生物、ドタバタ喜劇を繰り広げるユーモラスな人たちが描かれた作品を紹介する。

 見どころのひとつとなるのは、体長およそ2.3メートル、体重は約75キログラムにもなる豊年魚が登場する《雷光の図説 豊年魚》(作者不詳)。淀川に現れたと伝えられる奇怪な魚は、たびたび出没すると大豊作をもたらした、めでたい魚でもある。イタチのような見た目が有名映画の怪獣を彷彿とさせるが、その珍妙な不完全さが笑いを誘う。

 このほかにも、愛嬌のある生き物や子供たち、おかしな人々、江戸の奇抜デザインなど「かわいい」「おかしな」浮世絵が並び、見る者を楽しませてくれるだろう。