EXHIBITIONS
ゴヤ、理性のねむり
“ロス・カプリチョス”にみる奇想と創意
《我が子を食らうサトゥルヌス》、《1808年5月3日:プリンシペ・ピオの丘での銃殺》などで知られる画家、フランシス・デ・ゴヤの版画集『ロス・カプリチョス』に焦点を当てた展覧会が開催される。
ベラスケスと並び、スペイン美術史上の巨匠と称されるゴヤは、侵略や革命、内戦で国内の社会情勢が悪化するなか、凄惨な戦争や人間の苦悩を描き出し、近代を予告する新しい絵画表現を切り拓いた。43歳で念願の宮廷画家に就任するも、その3年後に大病によって聴覚を失うという波乱の人生を送りながら、音のない世界で社会と人間を鋭く省察した。
本展では、内容の過激さゆえに、わずか2日で販売中止となったゴヤ最初の版画集『ロス・カプリチョス』(1799年出版)の全80点を紹介。題名の「カプリチョス」は、気まぐれや戯れ、奇想などを意味し、版画集全体を象徴する《理性の眠りは怪物を生む》では、人間を惑わす悪徳が、コウモリやミミズクといった闇に生きる獣の姿で表現されている。本書は、19世紀中頃にボードレールやドラクロワらロマン派の芸術家によって評価されるまで、世に知れることはなかった。
暴力的なまでの想像力に満ちた『ロス・カプリチョス』。本展は、残酷な現実と魅惑的な空想が一体となった作品群を概観できる貴重な機会となる。
ベラスケスと並び、スペイン美術史上の巨匠と称されるゴヤは、侵略や革命、内戦で国内の社会情勢が悪化するなか、凄惨な戦争や人間の苦悩を描き出し、近代を予告する新しい絵画表現を切り拓いた。43歳で念願の宮廷画家に就任するも、その3年後に大病によって聴覚を失うという波乱の人生を送りながら、音のない世界で社会と人間を鋭く省察した。
本展では、内容の過激さゆえに、わずか2日で販売中止となったゴヤ最初の版画集『ロス・カプリチョス』(1799年出版)の全80点を紹介。題名の「カプリチョス」は、気まぐれや戯れ、奇想などを意味し、版画集全体を象徴する《理性の眠りは怪物を生む》では、人間を惑わす悪徳が、コウモリやミミズクといった闇に生きる獣の姿で表現されている。本書は、19世紀中頃にボードレールやドラクロワらロマン派の芸術家によって評価されるまで、世に知れることはなかった。
暴力的なまでの想像力に満ちた『ロス・カプリチョス』。本展は、残酷な現実と魅惑的な空想が一体となった作品群を概観できる貴重な機会となる。