ベラスケスの名作7点が来日!
「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」が国立西洋美術館で開幕

東京・上野の国立西洋美術館で、2月24日より「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」が開催される。ベラスケスの作品が過去最多の7点来日する本展の見どころをレポートでお届けする。

展示風景より。ディエゴ・ベラスケス《王太子バルタサール・カルロス騎馬像》(1635頃)

 1819年、スペイン王室の収集品を核としてマドリードに開設された世界屈指の美の殿堂・プラド美術館。2月24日より東京・上野の国立西洋美術館で開催される「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」では、その所蔵作品70点(うち9点は資料)が展示される。

展示風景より。手前は、ディエゴ・ベラスケス《フアン・マルティネス・モンタニェースの肖像》(1635頃)

 日本では過去4回のプラド美術館展が開催されているが、今回は同館のコレクションの要であるディエゴ・ベラスケスの重要作7点が来日。これは日本で開催される展覧会において過去最多であるとともに、プラド美術館がベラスケスの作品を一度に貸し出すことのできる最大点数となっている。

展示風景より。左端は、ディエゴ・ベラスケス《メニッポス》(1638頃)

 本展を担当した国立西洋美術館 主任研究員の川瀬佑介は、展覧会の見どころについて、「ベラスケスは17世紀のスペインを代表するもっとも有名な画家ではあるが、決してもっとも典型的な画家というわけではない。単にベラスケスの画業を追うのではなく、幅広い作品と比べながらベラスケスがいかに特別な存在だったかを見てほしい」と語った。

展示風景より。左から、ティツィアーノ《音楽にくつろぐヴィーナス》(1550頃)、ディエゴ・ベラスケス《マルス》(1638頃)

 ベラスケスが宮廷画家として活躍した17世紀のスペインは、国王らにより未曾有の規模で芸術の擁護と蒐集が進められ、まさに絵画の「黄金時代」と呼ぶにふさわしい時代であった。本展では、この「黄金時代」にフォーカスを当て、「神話」「宮廷」「宗教」「芸術理論」など8つのキーワードに沿って、17世紀絵画のコレクションを網羅的に紹介する。

展示風景より。ペーテル・パウル・ルーベンス《聖アンナのいる聖家族》(1630頃)

 スペイン王室のコレクションを紹介する本展だが、出品作の約3分の1はルーベンスやティツィアーノといったフランドルやイタリアなどの作家の作品が占めており、当時の王室を中心に築かれていたインターナショナルなアートシーンを物語っている。

展示風景より。手前は、ヤン・ブリューゲル(父)、ヘンドリク・ファン・バーレン、へラルト・セーヘルスら《視覚と嗅覚》(1620頃)
展示風景より。中央は、ディエゴ・ベラスケス《バリェーカスの少年》(1635-45)

 巨匠ベラスケスの重要作品を日本で見ることのできる貴重な機会であるとともに、スペイン王室の華麗な「黄金時代」を追体験することもできる本展。6月には兵庫県立美術館へ巡回し、関西では12年ぶりのプラド美術館展となる。

公式プレゼンターを務める及川光博

編集部

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