EXHIBITIONS

片山真理「tree of life」

Mari Katayama tree of life #012 2025
Commissioned by the V&A Parasol Foundation Women in Photography project with support from the Parasol Foundation Trust.

 Yutaka Kikutake Gallery Roppongiで、片山真理による個展「tree of life」が開催されている。

 片山真理は1987年埼玉県に生まれ、群馬県育ち。現在は群馬を拠点に活動し、精巧に手縫いされた布のオブジェを起点に、自身の身体性を中心的なモチーフに据え、写真や映像、アートプロジェクトなど多領域にわたる作品制作を続けている。2025年には英国のヴィクトリア&アルバート博物館のためのコミッションワークを実現した。

 本展では、「tree of life」と題された新作群を日本で初めて発表。V&A博物館の新収蔵作品を含む作品を展示している。

 本作「tree of life」は、鏡張りの空間で作家自身が被写体となった10点に及ぶ写真作品となっている。手縫いのオブジェに囲まれ、鏡面に反射する輪郭が曖昧となる構成で、鏡像と実像の境界が不明瞭となるなかで反射によるイメージの増殖が示される。

 また、本作はデジタルイメージの可塑性や複製性、更新性への意識を反映し、「所有されない身体」への接続の希求と結びつく。全長約20メートルに及ぶオブジェとともに行われたポートレイト撮影は、すべて作家自身によって行われ、「撮る/撮られる」という関係性に関わる構造をつくり出す。

 さらに、中判フィルムカメラを用い、多重露光やデジタル加工を用いずに一度のシャッターで時間を捉える手法や、針と糸による制作といった身体的・物理的な実践にも着目。鏡の空間での試みは、イメージの虚構性と身体との関係を空間的に提示するものとなっている。

 増殖する反射の中に現れる身体を通して、自己と他者の境界や、社会的文脈のなかでの身体の在り方を示す作品を紹介する。