秋永邦洋「うつろなかたち」

　YOD Galleryで、秋永邦洋の個展「うつろなかたち」が開催される。

　秋永は、動物を主題とした陶に装飾をかさねる表現を特徴とする作家。陶によってかたちづくられた生命の像は、確かな肉体を想起させつつも、その輪郭に不確かさを宿し、存在と非存在のあわいに位置するような状態を示す。また、装飾という行為には「本質を偽装するもの」とする作家の意識が反映されており、陶という素材が持つ恒久性と脆さの両面を通して、生命に内在する多層的な関係性が見いだされる。

　本展は、情報があふれ境界が曖昧になる現代において、秋永が「存在とは何か」という根源的な問いを陶という素材を通して提示するものである。動物をかたどった陶作品とその装飾を紹介し、存在と非存在の境界に揺らぎを生じさせる表現に注目する。