EXHIBITIONS
Ichi Tashiro「verve」
Gallery Commonで、Ichi Tashiroによる個展「verve」が開催されている。
Tashiroはこの2年間、抽象絵画への彫刻的なアプローチを新たに探求し、洗練させてきた。本展では、初めてその成果を大々的に発表。新しくつくられたシリーズでは、これまでの作品でおもに使われてきた紙のコラージュ技法に、カービング、スカルプティング、筆跡をつける技法を組みあわせている。彫ったり貼ったりする過程を傷跡や治癒と同一視することで、Tashiroの作品は身体のように、トラウマと変容の循環を表す器となり、複雑に絡みあう人間の経験をとらえる。
近年、Tashiroの作品はシュルレアリスムに由来するようなイメージから、壮大に広がる内的感情の風景へと向かっている。Tashiroの作品からわかるように、それぞれのペインティングには私的な意味が込められ、作家が日々抱く感情を収める精神的な器としても機能。もっとも大きい変化は、平面から逸脱したことである。彫刻や彫金の道具を使って絵画パネルに向きあい、揺るがない肉体の力強い存在感を放つ作品を制作している。
今回の作品は、木彫りのレリーフから始まり、その上に紙を何層にも貼り付け、油性インクを染み込ませている。これまでの作品と同様、Tashiroは紙にこだわり、作品の核に位置付けている。紙という素材は、表面に様々な質感を与えるだけでなく、立体的な造形が可能になる。Tashiroは、何層にも重なった紙を使い、木のくぼみとバランスを取るようにして隆起や突起をつけている。
油性のインクを用いたり、大胆なストロークを感じさせる身体的な顔料の表現を初めて取り入れたりすることで、Tashiroのアプローチはさらに進化した。ダイナミックな動きと入念なディテールを交互に施すことで、作品の表面を純粋な感情によるエネルギッシュな表現に変貌させ、細部までつくり込んだプロセスに予測不可能性と偶然性を取り込んでいる。
Tashiroはこの2年間、抽象絵画への彫刻的なアプローチを新たに探求し、洗練させてきた。本展では、初めてその成果を大々的に発表。新しくつくられたシリーズでは、これまでの作品でおもに使われてきた紙のコラージュ技法に、カービング、スカルプティング、筆跡をつける技法を組みあわせている。彫ったり貼ったりする過程を傷跡や治癒と同一視することで、Tashiroの作品は身体のように、トラウマと変容の循環を表す器となり、複雑に絡みあう人間の経験をとらえる。
近年、Tashiroの作品はシュルレアリスムに由来するようなイメージから、壮大に広がる内的感情の風景へと向かっている。Tashiroの作品からわかるように、それぞれのペインティングには私的な意味が込められ、作家が日々抱く感情を収める精神的な器としても機能。もっとも大きい変化は、平面から逸脱したことである。彫刻や彫金の道具を使って絵画パネルに向きあい、揺るがない肉体の力強い存在感を放つ作品を制作している。
今回の作品は、木彫りのレリーフから始まり、その上に紙を何層にも貼り付け、油性インクを染み込ませている。これまでの作品と同様、Tashiroは紙にこだわり、作品の核に位置付けている。紙という素材は、表面に様々な質感を与えるだけでなく、立体的な造形が可能になる。Tashiroは、何層にも重なった紙を使い、木のくぼみとバランスを取るようにして隆起や突起をつけている。
油性のインクを用いたり、大胆なストロークを感じさせる身体的な顔料の表現を初めて取り入れたりすることで、Tashiroのアプローチはさらに進化した。ダイナミックな動きと入念なディテールを交互に施すことで、作品の表面を純粋な感情によるエネルギッシュな表現に変貌させ、細部までつくり込んだプロセスに予測不可能性と偶然性を取り込んでいる。