石の存在に見る、謎が謎であることの面白さとは? 吉田志穂が撮り下ろす「Quarry / ある石の話」

写真家・吉田志穂の個展「Quarry / ある石の話」が、東京・新宿のユミコチバアソシエイツで開催される。会期は9月29日〜11月2日。

© Shiho Yoshida, Courtesy of Yumiko Chiba Associates

 吉田志穂は1992年千葉県生まれ。2014年「第11回 写真1-WALL」展でグランプリを受賞。17年6月には「第11回 shiseido art egg」展(資生堂ギャラリー、東京)で展示を行うなど、いま注目を集める若手写真家のひとりだ。

 今回、東京・新宿のユミコチバアソシエイツで開催される個展「Quarry / ある石の話」は、展覧会タイトルの通り、とある「石」をめぐる様々な考察をもとに展開されるもの。

 インターネットの普及などによって、謎が謎のままであることが許容されにくくなっているような現状に対し、閉塞感を覚えたという吉田は、その感覚を出発点として、事実や史実が明確にされていないものを探索。そのなかで出合った「石」を、本展のモチーフとした。

 これまでも様々な人物によってスケッチ、小説、石工の話、採掘場の石の欠片、ネット上の画像や考察などで表されてきた「石」は、時代や場所を超えて様々な見解を生み出していながらも、吉田にとってはさらにその謎が深まるばかりだという。

 ミステリアスな「石」に注目し、写真という手段でその存在を残すことを試みた本展。吉田特有の物語性は、ネット社会への言及を含む今回のアプローチをどう演出するのだろうか。

編集部

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