飯川雄大、大岩雄典「青空テンカウント」

　タリオンギャラリーで、飯川雄大と大岩雄典による展覧会「青空テンカウント」が開催されている。

　飯川雄大は、視覚に依拠したコミュニケーションに対する問題意識をもとに、情報伝達の曖昧さ、感覚の不完全さが生みだす余地を可能性としてとらえ直し、価値の転換を促すように制作を行っている。鑑賞者を能動的に巻き込み、時間や距離の離れた場所へと偶然の出来事を送り届けるように設計された、多様なインスタレーション作品を中心に展開している。

　大岩雄典は、時空間とその経験をもたらすフォームとしてのアートの可能性について、物語論やゲームスタディーズ、法制史などの知見から検討を加え、インスタレーションやテクストの制作・研究を行っている。近年では「物理的な空間ではなく、意図や判断の空間に立ち上がる特殊なインスタレーション」と位置づける作品《カードゲーム》をもとに、複数のスペースや点在する情報チャンネルを渡り歩くように開催された展覧会「実効｜Work」を企画。

　飯川と大岩のふたりは、作品が生起する空間の非 - 形態的なポテンシャル、とくに行為やプロセスを伴って可変的に展開するプレイアビリティに関心を向けることで、それぞれに固有の形式の作品を制作、発表してきた。

　本展では、劇的空間における公共性と私性の交差を主題として、その特異点として決闘と拳闘をそれぞれのモチーフに、両作家が新作を展開する。