アーリーン・シェケット：信仰のその先

　Pace ギャラリーで「アーリーン・シェケット：信仰のその先」が開催されている。

　アーリーン・シェケットは1951年ニューヨーク市生まれ、現在はニューヨーク州北部を拠点として活動。陶芸のジャンルに収まらないセラミック彫刻や、スチール、粘土、木材を組み合わせた示唆的なタイトルのハイブリッド彫刻で広く知られる。有機的であると同時に建築的でもある彼女の作品は、新たなアート言語の創出を通して彫刻と空間の境界を押し広げている。一見バラバラな形や色、素材を融合させたその作品は、抽象的でありながら、心理的、感情的な共鳴に溢れ、鑑賞者の内省と共感を誘っているようだ。

　シェケットにとって日本初展覧会となる本展では、静と動の狭間にある新作や近年の作品を展示。それは、シェケットが⻑く惹かれてきた日本美術の静謐さと現代日本の活気ある物質文化という二面性に通じているという。シェケットは、その制作においても作品との活発なやり取りを繰り返し、即興性と偶然性を取り入れながら複雑な構成を生み出している。自然界の言語と建築空間の言語を融合し、素材、色、形による表現の可能性を掘り起こすシェケットの彫刻は、私たちにその本来的な矛盾を受け入れ、周囲を歩き回るよう促す。