EXHIBITIONS

やきもののまち 多治見・土岐・瑞浪を舞台にしたアートプロジェクト

土から生える ART IN MINO 2024

高田窯場跡(多治見市)、ギャルリ百草と百草の森(多治見市)、小山冨士夫 花の木窯(土岐市)、下石工組 旧釉薬工場(土岐市)、旧地球回廊 軍需工場跡地(瑞浪市)、中島醸造(瑞浪市)
2024.10.18 - 11.17
 多治見市・瑞浪市・土岐市の各特設会場で、アートプロジェクト「土から生える ART IN MINO 2024」が開催されている。

 本プロジェクトのステートメントとして、芸術監督の安藤雅信は次のように述べている。

「『人新世』という言葉は、産業革命以降、人間中心の経済活動によって地球が新たな年代に入ったと、ノーベル化学賞を受賞したパウル・クルッツェンにより名付けられた。21世紀を言祝ぐバラ色の呼び名ではなく、いつまでも人間中心に地球の資源を食い尽くす時代は続かないという警鐘の名であろう。

 多治見・土岐・瑞浪市を中心とする美濃窯は1300年の歴史を誇る日本最大の焼物産地で、明治時代にはいち早く工業化に邁進し、食器からタイルまで多種の製品を量産して日本の急激な人口増を支えてきた。21世紀となり人口減に転じた日本において各地で産業の見直しを求められているが、美濃窯もその内のひとつとなりつつある。デザインは様々な方法で問題解決をするものであるが、アートは時代の枯渇感を表す問題提起の役割を担う。

 2008年に催した第1回の『土から生える』展では、山から掘り起こされた粘土を精製し、成形・施釉・焼成する焼物産業の分業制各種の場や陶芸作家の陶房を、瑞浪市・土岐市・多治見市から選び出して作品設置を試みた。山を切り崩した採土場や薄暗い窯場(モロ場)を子供心に負の側面としてとらえていたが、焼物の行程や場を活かす作品群は、生産性や時間のなかに埋もれ、一見価値がないと思われていた物や場に息吹を与え、五感を通して産地を感じさせる展覧会となった。

 あれから16年のあいだにスウェーデンの若者による環境活動や各国のSDGsへの取り組みなどがあり、歴史から何を学ぶかに関心を持つ人が増えてきた。第2回となる『土から生える ART IN MINO 2024』では、土からの派生を念頭に置きつつも、焼物や粘土という窯業の枠に縛られることなく、私たち人間の創成の源となる原初の土まで解釈を広げ、人類が始まる数百万年前から現代までを想像するものにしたいと考えて企画した。土の魅力は尽きない。本展とサブイベントを通して人新世のこれからの課題を考えつつ、また今後の窯業と土に可能性を感じ、より親近感を持つものになってほしいと願っている」(展覧会ウェブサイトより)。

 参加アーティストは、伊藤慶二、坂田和實、藤本由紀夫、小島久弥、安藤雅信、上野雄次、内田鋼一、森北伸、安藤正子、沓沢佐知子、桑田卓郎、迎英里子、アオイヤマダほか。