EXHIBITIONS

再開館記念「不在」ートゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル

2024.11.23 - 2025.01.26

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック メイ・ミルトン 1895年 三菱一号館美術館蔵

 三菱一号館美術館で「再開館記念『不在』ートゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル」が開催されている。

 美術館は、時代の変化に応じて、つねにその活動を見直す必要があると言える。そのために、時代を映すアーティストの感性を借りることが、ひとつの最善策であると考え、三菱一号館美術館では、2020年の開館10周年記念展として企画された「1894 Visions ルドン、ロートレック」の開催に際し、現代フランスを代表するアーライストのソフィ・カル(1953〜)を招聘する予定だった。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行により、ソフィ・カルは来日を見送らざるをえず、現代アーティストとの協働というプロジェクトは再開館後に持ち越されることになった。

 リニューアル・オープン最初の展覧会となる本展では、三菱一号館美術館のコレクションそして展覧会活動の核をなすアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック(1864〜1901)の作品を改めて展示し、そこにソフィ・カルを招聘し協働することで、同館の美術館活動に新たな視点を取り込み、今後の発展につなげていくことを目指す。

 ソフィ・カルは長年にわたり「喪失」や「不在」について考察を巡らせていることから、今回の協働にあたり「不在」という主題を提案。いっぽうトゥールーズーロートレックは、「不在」と表裏一体の関係にある「存在」について「人間だけが存在する。風景は添え物に過ぎないし、それ以上のものではない」という言葉を残している。ソフィ・カルから投げかけられた「不在」という主題を通して、展覧会や美術館活動の「存在」について考えていく。