手塚雄二展　雲は龍に従う

　そごう美術館で「手塚雄二展　雲は龍に従う」が開催される。

　手塚雄二は、1953年神奈川県に生まれ。東京藝術大学在学中に院展に初入選し、39歳の若さで日本美術院同人に推挙されるなど、早くから画壇の中枢で活躍を続けてきた。また長年にわたり東京藝術大学の教授として後進の育成に力を注ぐなど、教育者としても確かな足跡を残している。

　本展では、手塚が積みかさねてきた革新の道程を画家の重要作から紹介し、日々更新されていく日本画の未来を紹介する。見どころとして、6×12メートルという長大な寛永寺根本中堂奉納天井絵《叡嶽双龍》が挙げられる。

　手塚は、2020年より5年の年月をかけ、自身初となる水墨をもちいて天井絵の制作に取り組んだ。数百年の時を経た天井板をあえて活かすことにより「古」と「いま」を結ぶ新たな試み。

　描き出される2頭の龍は手塚が初めて挑むモチーフで、コロナ禍、アトリエに籠って描いた夥しい数のスケッチのなかから紡ぎ出された独自の図像だ。そしてその神聖かつエネルギッシュな龍の姿には、手塚の平和への祈りが込められているという。本展は、25年の東叡山寛永寺創建400周年を記念し制作された天井絵を奉納に先駆けて特別に公開する。