鬼塚紀子 写真展「ウズミビ」

　OM SYSTEM GALLERYで、鬼塚紀子による写真展「ウズミビ」が開催されている。

　本展に寄せて、鬼塚は次のように述べている。

「2020年の年明けから始まったコロナによるパンデミックで、長い家ごもりの日々を強いられました。姿の見えないコロナウイルスへの恐怖と不安を紛らわせようと、私は家の内の写真を撮り始め、コロナが少し落ち着いてからは近所にも足を延ばしました。

　ある日、卓上の花瓶や窓のカーテンなど普段から見慣れていたものが、別の世界のものに見え、いつもとは違う異質な存在感を放っていると感じました。近所の風景までも不穏な翳をまとって目の前に現れてきました。

　慌ただしくも平穏な日々のなかでは意識の底に眠っていた、生きることへの深い不安や恐れ、孤独などへの感性がコロナ禍で覚醒したようです」（展覧会ウェブサイトより）。

　本展の展示写真は、コロナ禍の日々で覚醒した鬼塚の感性がとらえた、日常の風景のなかに潜む「不穏な翳」や「異質な存在感」などを「埋み火（ウズミビ）」と名付け、2枚の写真を一作品として表現。2枚一組の24組と単写真4枚の52枚が公開されている。