EXHIBITIONS

ハルーン・ミルザ「Ceremonies and Rituals」

2024.08.27 - 10.12

ハルーン・ミルザ Illuminated Revelations in a Cave(Solar Cell Circuit Composition 29) 2023

 SCAI THE BATHHOUSEで、ハルーン・ミルザによる個展「Ceremonies and Rituals」が開催される。

 ミルザは1977年ロンドン生まれ。ウィンチェスター・スクール・オブ・アートで絵画の学士号、ゴールドスミス・カレッジ(2006)とチェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザイン(2007)にて修士号を取得した。

 ミルザは、自分の役割を「コンポーザー」と語り、電気という目に見えない不安定な現象を操作し、電化製品、ターンテーブル、LED、家具、映像、太陽光パネルなど、様々なプロダクツを楽器のようにもちいて、ノイズ、サウンド、音楽の知覚的な区別を再考する様な作品を展開する。

 光と音をつなぐミルザの彫刻は、ベースアンプやソーラーパネルなど既製品を寄せ集めた不安定なアッサンブラージュとして構成されている。光と音を彫刻の素材として扱うミルザは、周波数や波長を操作する電流こそが自身の表現メディアであると語っている。

 本展では、ミルザを魅了する電流の効果をさらに掘り下げ、神秘的な体験と科学的な分析が交差する未知の領域に踏み入る。本展覧会の中心となるのは、初公開となる2チャンネル映像のマルチメディア・インスタレーション《Cymatic Ceremony》(2024)だ。映像がドラムセットのライブ演奏とシンクロするこの作品は、振動現象を研究する一分野であるサイマティクスに言及している。

 社会政治的な背景に言及するアシッド・ハウスから、サイマティクスやシャーマニズムの儀式の研究まで、ミルザは音、光、電流を媒体として一貫した探求を続けており、その姿勢はほかのアーティストの協働するアプローチによってさらなる広がりを見せている。本展では、科学と神秘を織り込んだ探求のタペストリーを提示し、固有の周波数に振動する潜在的な力を浮かび上がらせていく。