EXHIBITIONS

松下和暉「Intoxication view」

2024.06.29 - 07.28

When I said that, when I shit data 2024 pen, whiteout, eraser, color pencil, marker on paper 17 × 21 cm (detail)

 KAYOKOYUKIで、松下和暉による個展「Intoxication view」が開催されている。

 松下和暉は、テキストあるいは詩のなかにある物理的な側面に注目し、それをさらに検証するための媒体として絵画があるととらえている。松下は作品制作のなかで言葉やフレーズを集め、文字を並べ替えてアナグラムをつくり出す。彼のキャンバスはこれらの言葉の延長として機能し、色、形、間隔、ストロークを通して言葉の再定義が抽象的に表現。

 キャンバス上のモチーフが言葉そのものであるかのように、白いスペースは言葉のあいだの沈黙として響き、詩の本質を呼び起こす。この両者の間接的な対話、つまり彼の私的なノートと広大なキャンバス、あるいはタイトルとモチーフにおける親密な相互作用は、言語と視覚芸術のあいだに雄弁な緊張感をもたらし、作品のなかでユニークに交錯する。

 本展のタイトルである「Intoxication view」とは、"Installation view" を下敷きに、松下がつくり出したフレーズだ。松下は、"Intoxication"(酔い)と"Installation"には共通して、いま、自分自身が見ている現実を、どんな光景であれ信じているということを挙げる。またそうした信念がいつから始まったのか、明確に思い出すことができないというところに着目している。言葉のインパクトは知覚をコントロールし、人を酔わせ、私たちをより大きなものの支配下に置こうとすると述べている。

 松下のタイトルに見られる自己言及的な言葉遊びは、言葉が持つ強力で限定的な意味から自身を解放し、事実を客観的にとらえ直す方法でもある。彼はこれらの微妙なニュアンスをキャンバスに描き出すことで、わずかな誤解の可能性を探り、新鮮でユーモアのある再定義へと導く。