水戸部七絵、川井雄仁「Love Dream」

　KEN NAKAHASHIで、水戸部七絵と川井雄仁による展覧会「Love Dream」が開催されている。

　水戸部七絵は、一斗缶に入った油絵具を豪快に手で掴み、キャンバスに練り込むように厚く層を重ねていく技法で作品を制作。薄く滑らかに描かれる言葉や風景、ロック・ミュージックや著名人をテーマにした作品、現代社会における事象の有様を示唆する作品など、記憶に残り魅了し続ける力に満ちた水戸部の作品は、現代における絵画が秘める可能性へと観者の意識を導いている。

　川井雄仁は、力強く生き生きと躍動する形と色で、独自の陶芸作品を数多く制作。川井の作品は、まず最初に粘土の中に沢山の顔料を混ぜあわせ形成をしたあとに、通常の本焼きにおける窯温度と比較し、やや低温度で焼成。その独特の技法により、しっとりとした柔らかい色の塊のような質感を生み出す。土の物質性や色との関係性に触発され、また自身の内面や経験が作用しあうことで重層的な作品となっている。

　異なる要素をつなぎ、複雑な視覚体験を生み出す色と形の関係性、作品個体の境界線を押し出していくような躍動感。ともに大量の顔料を使用し形づくられる水戸部と川井の作品は、変化の只中にありながら平衡状態を保ち、それゆえに新たな可能性を与えてくれる。本展では、それぞれの作家の新作を中心に発表。自然光豊かな小さな空間で共振する水戸部と川井の作品を作品を体感してほしい。