EXHIBITIONS

田中麻記子「Tempo Lila」

ARTRO
2024.06.15 - 07.13

Makiko Tanaka Tempo Lila 450 × 550 mm Oil on Canvas 2024

 ARTROで、田中麻記子による個展「Tempo Lila」が開催されている。

 田中麻記子は1975年東京都生まれ。現在は、フランス、パリ南・カシャン市在住。本展に寄せて、田中は次のように語っている。

「Tempo Lila(リラのとき)。時折、同じ食材を執拗に、しばらくのあいだ繰り返し食べる癖があり、今回は茄子であった。フランスで手に入る茄子は、日本の米茄子のように、パン!と身が太ったもので、私はその光沢のある紫色のフェティッシュな物体を触りたいがために、食べない日も市場で茄子を手に取っていた。へたを切ると、その下には、ピンクがかった薄紫色が現れ、その色の美しさに毎回釘付けになっていた。
 その色を観察しすぎたせいなのか、近頃の私の視界には、その薄紫桃色がフィルターのようにかかっていた。いつものように、人の肌を描いていたところ、その薄紫桃色は、皮膚の下から見える血管の色にも入っていることに気づいた。私の網膜にオーガンジーのように被さった、薄紫桃色=リラ色は、私の呼吸にまで侵食してきて、キャンバスのなかで集中するほど、画面をリラ色に染めていくことができているような興奮が湧き上がった。
 同時に、それを落ち着きなさいといわんばかりのキャンバスのなかのポートレートの瞼はメランコリックで、そんな二人(絵の中の人物と私)でつくった作品が今回のシリーズです。空白恐怖症的に、何もない背景が描けなかった私は、茄子を観察し続けたことで、リラ色の呼吸を獲得し、選ぶべき空気の色を冷静に置くことができた、初のシリーズとも言えます」(田中麻記子)。