鈴木秀尚、Kentaro Takahashi「Ghost Letter」

　HIRO OKAMOTOで、鈴木秀尚、Kentaro Takahashiによる展覧会「Ghost Letter」が開催されている。

「Ghost Letter」とは、幽霊文字と呼ばれる出所が不明な幻の文字を指す。これらの文字は、1978年に制定された一般的に普及しているJIS漢字コードに紛れ込んだ誤字やノイズの産物とされ、現在もなお12文字が幽霊のように存在している。その読み方も用途も誰にもわからず、使用の痕跡すら見つからない実在が疑われる文字である。

　幽霊文字はコード化の過程でのヒューマンエラー、例えば異なる文字の偶然の結合や余分な線の追加などによって生まれた可能性が高いとされている。このようなエラーがデータに刻まれ、いまもなお混乱を避けるためにそのまま残されている。歴史をふり返ると、文字はつねに変化し、多くの言葉が消えた。

　何かの偶然で紛れ込んでしまった幽霊文字は、かつて誰かが描いたであろう文字の影のような存在。しかし、現代の私たちにはその真実を確かめる術はない。その文字がかつて意味を持っていたとしても、いま私たちに残されているのはその形だけである。

　本展では、実在しないがどこかで見覚えのあるもの、記憶の曖昧さと確かさを、絵画と写真という2つのメディウムを通じて探求。幽霊文字のような謎めいた存在が私たちの心にどのような影響を与えるのかを問いかける試みである。