EXHIBITIONS

林秀行 回顧展

2024.05.17 - 06.15

林秀行 背のびする丘 1995 陶 90 × 50 × 26 cm 写真:今村裕司 画像提供:艸居

 艸居で「林秀行 回顧展」が開催されている。

 2024年3月29日に87歳で逝去した林秀行は、日本の陶芸界で長年にわたり活躍し、多くの人々に愛されてきた。林の作品は、独自のスタイルと技術を持ち、日本の伝統的なやきもの文化と現代のアートシーンを融合させたものとして高く評価されている。

 本展では、50年をわたって過去の代表的な作品と最新作品が展示。オブジェ作品からお茶碗、器まで約90点以上の作品が展示されている。

 林は、陶芸界で革新的な動向を生み出した「走泥社」のメンバーの一人として、また、オブジェ作品を通じて現代陶芸の牽引者として活動してきた。陶芸の世界における職人の価値や重要性を強調し、日本のやきもの文化における役割や責任についても語っている。日本のやきもの文化が日常生活に密接に関わっていることや、文化の多様性が京都のやきもの文化に反映されていることを強調した。林はやきものに携わる者として、文化の継承と発展に貢献することの重要性を認識してきた。

 これまで前衛的なオブジェ作品を数多く制作し、オブジェ作品を作る際に、几帳面な計画よりも直感や手での作業に重きを置いてきた林。合理性や効率性を追求する世の中において、自らの作品づくりのスタイルが逆行していることを認識していたが、その逆行こそがおもしろいものを生み出す源泉であると考えていた。

 本展は、日本の陶芸界にとどまらない重要な展覧会として、作品を通じて彼の芸術的な遺産を賞賛、長年の功績を称えることができる貴重な機会となるだろう。