EXHIBITIONS

アート・アーカイヴ資料展 XXVI 飯田善國 ── 時間の風景

メインビジュアル

 慶應義塾大学アート・センターで「アート・アーカイヴ資料展 XXVI 飯田善國 ── 時間の風景」が開催されている。

 飯田善國(1923〜2006)は、色とりどりのロープとステンレスを組みあわせた立体作品や、周囲の風景を映しながら動くステンレスのモニュメンタルな作品で知られる彫刻家。飯田は、はじめ画家としてキャリアをスタートさせたが、56年に渡欧した際、ローマで彫刻家のペリクレ・ファッツィーニ(1913〜87)に師事したことなどをきっかけに、彫刻家の道を歩む。

 飯田はその後ウィーンとベルリンを中心に活動し、木や石を素材とした彫刻を発表。67年、日本に帰国した飯田は、それに前後して自らの制作における中心的な素材として金属を選択し、ステンレス・スチールの鏡面を巧みに利用した作品をつくるようになった。そこには風の力によって動く彫刻というような、当時の先端的な発想も取り入れられ、また色彩をもったロープなどをステンレスの立体に組みあわせることで、独自の世界を生み出すことになる。

 本展では所管するアーカイヴのなかから、飯田がプロデューサーとして腕を振るった69年の「国際鉄鋼彫刻シンポジウム」に関する資料を展示。このシンポジウムでは招聘された各国の芸術家が、鉄工所の協力を得ながら現代を象徴する素材である鉄をもちいた作品を制作した。これらの作品は、文明の最先端を示すと同時にそれに対する批判も含むという意義を有するだけでなく、翌年に大阪で開催された万国博覧会の会場に設置されたという意味においても、戦後現代美術の展開に大きな足跡を残した。

 本展では、当時の飯田や他の芸術家の様子を、写真を中心に振り返る。飯田が鉄鋼シンポジウムに際して制作した《時間の風景》のような、飯田自身が「ミラー・モビール」と名付けた鏡面ステンレスによる「動く彫刻」作品は、その後日本の各地に設置されており、慶應義塾大学三田キャンパスにも《知識の花弁》(1981)や《星への信号》(「1984)といった作品が残されていることも念頭に置いた展覧会となっている。