EXHIBITIONS

コレクション展 2024-春 特集:小さくていいもの、あり〼

2024.04.27 - 06.23

若山八十氏 変ないきもの 1961 謄写版、ガラス、紙 和歌山県立近代美術館蔵

 和歌山県立近代美術館で「コレクション展 2024-春 特集:小さくていいもの、あり〼」が開催されている。

 1963年開館の和歌山県立美術館を前身とする同館は、日本で5番目となる国公立の近代美術館として、1970年11月に開館した。県民文化会館と同じ建物で活動したのち、1994年に、建築家・黒川紀章が設計した現在の建物へと移転し、展示空間や保存環境を拡充。

 開館以来、同館は和歌山ゆかりの作家を中心とした展覧会活動や収集活動を継続し、現在ではその範囲を国外にまで広げ、日本画、洋画、彫刻、版画など、総数1万点を超える作品を所蔵する。所蔵作品を紹介するコレクション展においては、幅広い美術の表現に接してもらえるよう、季節ごとに展示を替え、様々な観点から作品紹介を続けている。

 本展では、サイズが小さく、普段は出品することが難しい作品を集め、「小さくていいもの、あり〼(ます)」という特集を展開。小品の魅力とは、暮らしのなかで作品が親しまれ、大事にされてきた時間を想像させ、美術作品と人との距離を近く感じさせることである。あわせて、大作の構想を練るためにつくられた小さな試作にこそ作家の手を生々しく感じられることや、小さい作品だからこそできる冒険などもあり、こうした小さな作品の持つ大きな力を紹介している。

 ほかのコーナーも、原勝四郎、川口軌外、村井正誠など和歌山ゆかりの作家たちや佐伯祐三などの作品を中心とした「いつものいいもの」、サイズが大きくあまり紹介されてこなかった白髪一雄、フランク・ステラらによる「大きくていいもの」、新しくコレクションに加わった吉田政次、稗田一穗らによる「あたらしくていいもの」として、改めてコレクションの魅力を探る。