小出麻代「とるに足らぬものなど何ひとつない」

　GRAND MARBLE Gallery PARCで、小出麻代による個展「とるに足らぬものなど何ひとつない」が開催されている。

　小出麻代（こいで・まよ）は、物や場所、時間や環境、経験が人間の「こころ」にどのように作用し、そこからどのような関係が生じえるのかに関心を寄せる。ガラス・鏡・電球・糸・紙・落ち葉・枝・針金・光などの日常の断片とともに、シルクスクリーン、サイアノタイプなどによる写真プリント、シリコンによるオブジェクトなどを多層的に組み合わせたインスタレーションは、鑑賞者の経験や記憶などと関係することで、そこにそれぞれの風景を立ち上げる。

　また、近年では様々な土地と人々に取材しながら収集した場や地域の「歴史や記憶の断片」も素材のひとつとして、オブジェクトや映像と関係させたインスタレーションを発表している。

　本展は、近年、小出が取り組んできた作品制作の過程で用いたものや、いったんは不要として取り置かれてきた様々な要素を見つめ直し、改めて組みあわせることに主眼を置いたものとなっている。外を取材し、内に取り込んできたこれまでの作品制作とは異なり、現在までの自身の記憶や経験も大きな因子として、内と外を入れ子の構造に置くことで、そこに新たな回路を開く。