日野田崇 「偶然を過ごすための手色形楽」

　イムラアートギャラリーで、日野田崇による個展 「偶然を過ごすための手色形楽」が開催されている。

　手色形楽（しゅしきけいがく）の作家・日野田崇。手色形楽とは、日野田によって考案された 「美術」に代わる用語で、造形芸術の元来の 「身体」ともいえる色・かたちを作家の手（身体）を媒介にしてつくり出すことに焦点を当てる試みを指すとしている。

　日野田の制作スタイルは土を手びねりで形成し、マスキングをしながら陶芸用の顔料を吹き付けて彩色が行われる。電気窯で焼き、再度彩色を施しては焼くという作業を繰り返して作品がかたちづくられている。

　食器や花器など、もともと人間と親密な距離で使われていた陶という素材を、現代の美術の空間や文脈に対応させるために、これまで日野田は様々なアプローチを試みてきたが、今回、原点に立ち返り、陶作品単体に内在する密度や重量感でギャラリーの白い箱に拮抗させる試みに挑戦する。